トップページ > 山下建設会長、棟梁 山下正己様の取材:門司洋瓦の考える本物
今回は、下関市椋野町に本社を構えていらっしゃる山下建設株式会社の会長 山下正己様に
ご協力を頂き、木造建築に関わるお話や家という作品についてのお考えなどをお聞きしました。
後進の育成にも非常に熱心でおられる山下会長から、ものづくりに留まらない姿勢のお話に加え、施設等のご案内まで頂き樹齢500年の木材やご自宅敷地内の撮影までご協力頂きました。
また、ご自宅前の施設での錦鯉を孵化・稚魚から飼育されるこだわりは圧巻の一言でした。
こちらも撮影させて頂いた画像や動画をご覧いただけます。
アイデアと夢
山下会長
アイデアやセンスを出していかなければならない。
夢を作っていかないとハウスメーカーに、工務店は負けます。アイデアやプランを出していかないと良い仕事は出来ないし、お客様も頼んでくれないんですよ。
負けちゃあいかんですからね。
ええもの作ってゆきながら、なんとか生き残っていかなければ。ですね。
それはまた生き残る為ってよりは、日本の為ですよ。
トップ画像、右画像は下関市菊川町下大野の工場内の応接室
木を使うという事
山下会長
うちにも沢山職人が居て、みんな頑張ってますよ。
私も指導してね。やっぱり技術的な事についてもアイデアを絞ったり。
木を使うという事についても、この木はこう使うとかね。考えてます。
木が可哀想ですからね。良い形で使ってあげないと。
最近はどうも(木を)解らんまま使う者も居て、これは困ったものです。
樹齢500年を超える木材が並ぶ工場内のスペース
原点
山下会長
私は中学2年の時に、この道と決めたんです。
僕は5人兄弟の末っ子で、当時親が既に僕以外は高校に出していました。親は僕に「高校に行け」と言ったけど「いや、行かない。大工か板前になりたい。」と。
それで「板前だと食べたら無くなるから、大工が作ったものだと残るからね。それで結局大工になろう」と。
親は中学2年で決めたんです。
そこから修行、研鑽、経験を重ねて30歳を過ぎたら作品を作ろうと。夢を作ろうと。
それから今日に至る訳です。
山下会長の自宅内より
作品
山下会長
作品と言うのは簡単ですけど、なかなか良い作品は出来ませんよ。
奥が深くて、これで終わりって事は無いという事ですね。
とにかくやればやるほど、お客様に注文頂いてアイデアを出してゆくことの難しさを感じますね。しかし、兎に角良いものを作らないといけない。
今もうちのスタッフが一生懸命頑張っていますけどね。もっと良いものを作らないといけない。
もっと夢を作らないといけない。
撮影させて頂いた錦鯉の動画。
孵化・稚魚から育て上げる錦鯉の美しさと力強さに圧倒されました。手間や工夫を惜しまない山下会長のこだわりを垣間見る事が出来た一コマでした。
技術について
山下会長
技術はしっかりしたものを覚えないとならないです。確かな技術を土台にすると、良いものが出来ます。
アイデアはお客様に合わせたもので、まぁアイデアって言うけれど、これが簡単には出てこないんでね。なんぼ考えても出てこない時もある。
それがあくる日に、パっと出て来る事がある。
建てる時には、外観を良く見て頭に入れます。そして外観のスケッチを先に頭に浮かべる。『良い家』を建てようと。
例えばお屋敷が道より高いところにあれば、それに合わせた感覚です。
パースも決して上手くはないけれど、お客様が解るように自分で書いてましたよ。
最近はパソコンでみんなやってるけど、僕の見た感じじゃあれはちょっと固いです。僕が書いていたのはお客様がイメージを掴む為なんで、その為には雰囲気も大事です。
世の中の変化に対して
山下会長
世の中がどんどん変わって行って、うちの会社も変わってきています。
すぐに浮かぶのは、設備関係が多いですね。家に関連した設備はどんどん進化しています。
大手に比べて工務店は設備の面で遅れる事があるので、情報に触れる為に展示会などに積極的に 出向いて新しいものを知る努力をしないといけないんです。
お客様の一歩前を進んでいないとならない、という事です。勉強が大事です。
棟梁とは
山下会長のお話全体を通して感じられる後進の育成に対する強いこだわりについて、また棟梁という呼び名に対する思い入れについてお話頂きました。
山下会長
棟梁ってものはね、人間を作るという事です。
人間が出来たものじゃないと、棟梁をやってはならんという事です。それが山下正己の考えです。
しっかりとした棟梁が家を建てなければならない。
見積もりも設計も頭を下げる事も基本です。
見積もり・設計・経営、これが出来て棟梁なんです。
私は中学に講演に行った時にそう言いました。
私の頭は古いかもしれませんよ。でもそれらが出来ないと本当に良いものは出来ん。という事です。
人間が出来ていると必ず仕事も出来るんです。技術だけ良くても、誰も頼んでくれない。
自分自身を作って行くのが人生なんですよ。腕が立つ人間ほど、頭は低くないといけない。
そして自分に反省する力の無い人間は絶対に成長しない。反省する力があって、物が出来て人が信用してくれる。言い訳する人間もだめです。
うちの様な会社は、物を仕入れて、アイデアを出して家を作ってそれでやっとお客様に渡すんですからね。大変な商売ですよ。
うちの職人にもきちっとした仕事をやってもらおうと思って、頑張って貰ってます。
兎に角、反省するという力です。そして責任を持つという事です。
お忙しい中、お話に加えご案内まで頂き、山下会長ありがとうございました。
本ページの途中でも動画でご紹介させて頂いた、大きく育て優雅な美しさが感じられる錦鯉達。
錦鯉の生育の為の建物内撮影画像。広い室内の水槽の中で元気に泳いでいる錦鯉を見ることが出来ました。
ご自宅前撮影画像より
工場内の応接室から場所を移し、ご自宅でもお話をお聞きすることが出来ました。