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こめぐら付移動式ミニログハウス(ひかり幼育園)

今回は平成25年におけるログハウス建築コンテストで国土交通大臣賞(大賞)を受賞された、北九州市八幡西区浅川台の有限会社ウッディ工房の嶋﨑健一社長を取材させて頂きました。
伝統的なカテゴリーの中で高い技術に加え、独創性で個性を発揮されているウッディ工房さんのこだわりや、自然豊かな九州の木材を使用する地産地消についてなど、様々なお話を聞くことが出来ました。
「もっと小さく」「さらに短期間」など、今後の挑戦についてのお話も非常に興味深く、多くの方にお読み頂きたい内容となっています。

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本年度のログハウス建築コンテスト 国土交通大臣賞受賞について
質問者
平成25年ログハウス建築コンテストの大賞受賞おめでとうございます。
受賞ページを拝見させて頂きましたが、大賞とされるものは国土交通大臣賞と農林水産大臣賞がありますね。
今回のウッディ工房さんの受賞は国土交通大臣賞という事ですが、農林水産大臣賞とは意味合いが異なるという事ですか?
嶋﨑健一社長
ありがとうございます。
今回の受賞で国土交通大臣賞という事は総合的な意味合い、特に「材料」と「技術」が噛み合っていないと国土交通大臣賞には成り得ません。農林水産大臣賞はどちらかというと材料を主体とした形になりますね。対して国土交通大臣賞の場合は技術的な要素が大きい訳です。
質問者
技術というと意味合いが広い訳ですが、特にどういったものと認識するとよいでしょうか?
嶋﨑健一社長
「法律」というキーワードがありますね。法律に合致しているかという事です。それと耐久性、維持保全が計画的・持続的に出来るかという事も挙げられます。財産の保全に繋がる部分です。建物を造る段階で維持保全が出来るシステムが組み込まれているかという事が技術に関わる部分でしょう。
一般的なコンテストだと「デザイン」「見栄え」に重きを置いて建物の良さを競うものもありますね。他にも「コストダウン」「機能性」など競う要素があります。
今回の弊社の受賞については、「安全性」「維持保全」なども含んだ総合的な要素がバランス良く配置されていると評価頂いたのだと理解しています。

ミニログハウス内より。こめぐら部分へのドアに向かって。
クライアントと創りあげたログハウス
質問者
受賞の項目を見ると小規模ログ奨励賞というものがあります。受賞されたミニログハウスは小規模ログ奨励賞に当てはまると思うのですが、飛び越えて国土交通大臣賞受賞された事について、嶋崎社長はどのように捉えていらっしゃいますか?
嶋﨑健一社長
過去において小さなログハウスというものが賞の対象に入ることが出来ない事がありました。凝縮されたログのこだわりや良さが見失われる、見逃されてしまう事があったから、だから小規模ログ奨励賞というものが作られたんです。
そういった賞が出来た事で小さなログハウスは小規模ログ奨励賞の対象という認識が生まれました。
今回のミニログハウスにおいては、一般の(ミニログハウスではない)ログハウスと並び審査頂く中で総合点で評価頂いた訳です。「新規性」「維持保全」「環境配慮」など多くの要素に対し、バランス良く対応出来ていたという事です。
今回受賞した作品はクライアントと一緒に創りあげたものです。田植えをした子どもたちがどろんこになって頑張って米を作って、刈り取った稲を常温で保存する。常温で保存することで万一の災害時に意味を成す。勿論お子さんの情操教育の意味もあります。
小さな作品ですが、付け足して形を成すものとはまた違った挑戦があり、その結果の受賞だと思います。
質問者
確かに足し算の発想だとこういったコンパクトなログハウスは生まれない様に思います。
嶋﨑健一社長
要素を単純に付け足していくと建物は大きくなっていきますね。ログハウスの良さを残しつつ、更に小さく造るという事は非常に難しいですね。

ウッディ工房さんの事務所前より。勿論ログハウスです。
今ある生活に自然がやってくる
質問者
ミニログハウスはこれまでのログハウスを嗜好される方以外にも広く届ける事が出来る可能性があるように感じます。受賞で弾みがついたかと思いますが、ミニログハウスは今後どのような方に届けたいと考えていらっしゃいますか?
嶋﨑健一社長
先ず、災害対策という発想が原点にあります。小さなものは造って完成させて運ぶことが出来ますね。小さく造られているからこそ移動出来る。
もう一つはシックハウス対策。シックハウスで困っていらっしゃる方に安心して過ごせる居住スペースを提供するということ。
新しい居住スペースが必要となった方、建物を建てた後で安心安全なログハウスの良さを知った方、そういった方々に、これまでより気軽に手が届くものとして提供したいと思っています。
質問者
ログハウスと言うとお金持ちの方が別荘で購入する様なイメージがありましたが、ウッディ工房さんには全く違う考えがあるんですね。
嶋﨑健一社長
昔のバブル時代の様な景気が良かった時代の一つの象徴的なイメージとして別荘にログハウスというものがあるのでしょう。ですが、当時から時間が経過して、購入された方も歳を重ねられて気軽に行けなくなったりして、手放される様な事もあります。
今はとても忙しい時代ですから、別荘に月に1,2回行くのが以前よりも大変になってきたという事もあります。
別荘に出向くのではなく、逆にログハウスが生活の中に入ってきたらと考えたらどうでしょう。山や森に出かけるのではなく自然がやってきたら、呼び寄せることが出来ればこれまで存在しなかった価値を想像することが出来ます。
木材の地産地消はメリットが多い
質問者
ウッディ工房さんは木造建築の肝である木材の品質について、高い意識をお持ちだと聞きました。使用する木材についてのアピールポイントなどお聞かせ下さい。
嶋﨑健一社長
建物に使う木材は地産地消が一番良いと考えています。
地域材、全国様々なエリアがありますが、九州ならば九州の木材が良いです。例えば北海道から持ってくるのでもなく、やはり九州の木材を使った地産地消です。
どうしてかというと、その地域で育った木材はその地域の気候と風土を知っているから。成長のプロセスで木がその風土に対する免疫力を持つからです。
九州という括りが広いと考える場合は、熊本を境とした北部九州と南九州に分けて考えるのも良いでしょう。亜熱帯に近い宮崎鹿児島の方面と温帯に近い福岡方面ではまた違いがあります。
成長の過程で免疫力を身につけて木は育つ。なので地産地消の木材は安心安全。そして近いという事は運搬の距離が短いという事です。結果としてCO2の排出量も削減される。エコの面でも意味が大きい。
また近いので用意に補充が出来る。見に行く事も出来る。安心です。
そういった事から地産地消をベースとした高品質の木材の使用に拘っています。
「もっと小さく」「まだまだ小さく」
質問者
最後にまたミニログハウスに話を戻して質問させて下さい。
小さく造り、そして集めれば大きな役割を果たすことが出来るミニログハウスは価格面でも非常に魅力的な商品だと感じます。「小さく造る」というアイデアは今後もウッディ工房さんのキーワードとなるのでしょうか。
嶋﨑健一社長
「もっと小さく」「まだまだ小さく」と考えてます。
また「小さいお金」、つまり少額で買うことが出来る事や、DIYの様な気軽さも重視します。
小さな3歳くらいのお子さんでも毎日積み木を触って遊んでいると組み立てる事を覚えていく。忙しい毎日を過ごす大人だったら積み木が目に入っても触ろうという気持ちが湧かない。
「小さい」というキーワードで考えると、多くの方に届けられるチャンスが生まれる。小さく造るというのは難しい事ですが、これからのチャレンジにも繋がっていきます。
お話をお聞きすると小さなログハウスには多くのストーリーや、ノウハウ・技術が多く詰まっている事がわかりました。今後更にブラッシュアップされたミニログハウスを提供していくという事で、これからのウッディ工房さんの新しい製品のリリースが注目を浴びることは間違いないと思われます。