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地球環境保護・資源循環型社会を創造するリサイクルの総合企業を目指す日本磁力選鉱株式会社 原田光久社長。今回は本社にご訪問させて頂き、お話をお伺いしました。
日本磁力選鉱株式会社様のWebサイト(http://www.nmd.co.jp)にもメッセージとして掲げられている「資源は有限、創意は無限」という考えを踏まえ、主に事業としてのリサイクルについてご質問させて頂きました。
原田社長の「日本の良さ」「日本の考え方」を広めなければというお気持ちで取り組まれている事業について、また時代は変われど変わらないものがあるとのお話から、事業の基となっているお考えを感じる事が出来ました。

- タイトルをクリックすると各トピックに移動します。
- 1, 選別によるリサイクル
- 2, 小型家電リサイクル法の施行と事業者認定
- 3, 日本国内から世界へ
- 4, 自治体による取り組みなど
- 5, 時代の変遷に対してなど
選別によるリサイクル
質問
磁力による選別だけではなく現在では様々な技術があるという事を知りました。
原田社長
電気伝導率の違いを用いたものなどがあります。使用するのは誘導電動機というモーターの原理なんですね。例えば銅だと抵抗が非常に少ない。アルミは銅よりもう少々など、色々な金属の種類の違いによって電動抵抗にも違いがある。そういったものを利用してメタル(金属)を分けられる訳です。
その技術を例えば、乗らなくなった自動車から金属を分けて再利用可能な資源に変換します。
廃棄物の処理の過程において、廃棄物を分けて鉄を取り出すだとか色々な事をやっています。そんな中で、あの技術この技術といった具合に使い分け組み合わせていって、今やっているのは家電や工場などの製造過程でリジェクトされた部品だったり、使い捨ての製品だとか種類は様々です。そういったものを集めてひびき工場などで行なっている訳です。
その中には例えば、広く知られる様になったレアメタルの様なものもありますね。色々な分け方を用いて分けていって、非鉄金属を扱う会社さんなどに持って行って、最終的に利用用途によって分ける。そして材料となり物が生まれるという流れです。
小型家電リサイクル法の施行と事業者認定
原田社長
今年4月、使わなくなった小型家電の排出抑制に関連した「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」が施工され、6月にそのリサイクル事業者として国から認定を頂きました。(※九州では日本磁力選鉱株式会社が最初の認定事業者)
これまでは、北九州だったり比較的近い都市でお話させて頂いていて、(遠方の)他のところでは直ぐにおたくにお出ししましょうとはならないところもあるんですけどね。日本全体がだんだんと希少なるものを大事に使おうという動きにはなって来ている訳です。
そういう中で我が社がどう動くべきかという事ですね。

今回は日本磁力選鉱株式会社本社応接室にて取材させて頂きました。
日本国内から世界へ
原田社長
最近はひびき工場と同じものをインドで造って、そこで出た中間品や製造物をこちら(国内)に持ってきて、非鉄金属を扱う会社さんに納めるといったケースもあります。
それを実現するには、バーゼル条約(有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関する条約)に則って、発生からお終いまで、例えば途中で寄港するところまで全部において徹底された手続きが必要です。
勿論、(前述の)インドのケースもそれに沿って動き始めてますね。
最終的に全部自前でやるという事ではないけれども、リサイクルに関する日本磁力選鉱の考え方・やり方みたいなものは国外でもある程度は「これは良いな」と思って頂けるのではないかと考えています。

社内で撮影させて頂いた創業の志
自治体による取り組みなど
質問
世界を舞台にされる様になったんですね。
原田社長
インドのケースは北九州市のガイドです。市も色々と取り組まれている。市だけじゃなくて、国やNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)等からも助成を頂いています。
昨年、インドの企業に出資し、社員もインドには毎月赴いています。インドは能力や意欲が高いと期待しています。
質問
テレビ等の反響で国内の問い合わせや相談が多いというイメージでしたが、国外での動きも活発なんですね。
原田社長
勿論、おかげさまで国内でもテレビ等で自治体などからお問い合わせ等、多くの反響を頂きました。ただ、急激に需要が増加しても対応出来ない部分もあります。処理能力を工場の追加で増やすだけではなく、集荷の側面もあるのでバランスが重要ですね。

時代の変遷に対してなど
質問
例えば小型の携帯電話やパソコンなどに着目しても、リサイクルについての理解や活用の意識が日本のみならず世界で以前より高まっていると聞きます。
原田社長
携帯電話なんか、新しい機能が付加され、次々と新機種が出てきますよね。機械にしても同じ条件で使えるのなら、それは立派な新品が良いでしょう。でも実際はそうではない方が良い場合もあります。リースという手段もあるし、早くて安いからですね。
同じ事をやるのであれば、リースや再生品で少しばかり時間がかかっても低コストでやる方がいいじゃないかと、そういった昔からの日本人的な考え方もあるでしょうね。
僕なんかは壊れるまで使える間はそれを使います。そんなすぐに新品に変える変えるって言うなってね。変えたいからではなく仕方なく変える感じですよ。
質問
金属の選別に関する技術はニーズや時代の変化に伴って大きく変わってきているのですか?
原田社長
あまり変わっていないですね。
似たようなものというか、大体こういったやり方だなという感じです。既存の技術を選別する物によって適切に使い分け、テストを繰り返しながらどれが良いかなという段階を経て対応します。
この後も、非常に興味深いお話をお聞かせ頂きました。
本来の業務とは異なる方向の質問や投げかけに対しても、一貫した考えや信念に基づくものだなと感じるお答えを頂きました。原田社長は非常に落ち着いてゆっくりとした口調であり、理路整然とした考えやメッセージが伝わるお言葉が多く、「リサイクル」についてより詳しく知りたいという気持ちが湧きました。
原田社長のインタビューは、「福岡の社長.tv」でも、動画でご覧頂けます。
(本ページ作成に関して、インタビュー動画も参考にさせて頂きました。)
お忙しい中、快くご対応頂いた原田社長にこの場を借りて改めてお礼申し上げます。
日本磁力選鉱様 概要情報
会社名 | 日本磁力選鉱株式会社 |
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代表者名 | 原田 光久 |
所在地 | 〒802-0077 福岡県北九州市小倉北区馬借3-6-42 |
企業HP | http://www.nmd.co.jp/ |
事業内容 | ◆鉄鋼関連事業:製鋼スラグリサイクル 粒鉄 ステンレス地金 冷却材 セメント原料 路盤材 溶接フラックス再生・製造 都市ゴミ溶融メタルリサイクル ウエイト材製造 ◆非鉄金属関連事業:特殊鋼等リサイクル スチールショット 高純度非鉄金属回収(銅 アルミ) 廃家電、廃自動車、小型電子機器リサイクル ◆機器製造・販売事業:各種選別機器 プラントエンジニアリング事業 スラグリサイクルプラント 各種選別プラント ごみ処理プラント |
設立 | 1949年02月04日 |
創業 | 1949年12月18日 |
従業員数 | 395名(2012年9月) |
日本磁力選鉱様の沿革
1949年(昭和24) | 会社設立 鉄片分離機1号機納入 高炉ガス灰処理開始(八幡) |
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1950年(昭和25) | 団鉱製造開始 |
1951年(昭和26) | 磁力選鉱機器の製造販売開始 |
1955年(昭和30) | 平炉スラグ処理開始(八幡) |
1956年(昭和31) | 対極型磁選機第1号納入 |
1957年(昭和32) | 転炉スラグ処理開始(八幡) |
1962年(昭和37) | 東京事務所(高円寺)開設 還元団鉱製造開始 |
1963年(昭和38) | 新型振動篩(モーターによる振動式)発明 非鉄選鉱工場の前身「日本陶石株式会社」設立 |
1967年(昭和42) | 溶接フラックス物理再生開始 電気炉スラグ処理作業開始(若松) |
1968年(昭和43) | シックナー灰浮選蛍石粉製団作業開始(八幡) |
1970年(昭和45) | 溶銑予備処理スラグ処理開始(苅田) ステンレススラグ処理作業開始(周南) 製鋼用造滓材製造開始 |
1972年(昭和47) | 不動産事業へ進出 |
1973年(昭和48) | 転炉スラグ処理作業開始(倉敷) |
1974年(昭和49) | 日選開発株式会社設立 |
1975年(昭和50) | 電気炉スラグ処理、メタル回収バラス製造開始(泉大津) |
1977年(昭和52) | 転炉スラグ処理作業開始(大分) |
1978年(昭和53) | 転炉スラグ、電気炉スラグ処理作業開始(大阪) |
1982年(昭和57) | 電気炉(5000kVA)設置、電炉事業へ進出(電炉) |
1985年(昭和60) | 電気炉(300kVA)設置、溶接フラックスの溶解再生開始(溶材) |
1987年(昭和62) | 特殊鋼溶解作業開始 |
1989年(平成1) | 創業40周年記念:本社増改築完工 |
1995年(平成7) | マグネシウム脱硫剤製造開始 創業者 原田源三郎相談役逝去 |
1996年(平成8) | ナゲット銅製造設備完成 |
1998年(平成10) | 合弁会社『株式会社エヌジェイエコサービス』設立 合弁会社『株式会社東京湾物流』設立 電気炉用原材料製造設備(MRS)設置、作業開始(周南) |
1999年(平成11) | 日新製鋼株式会社呉製鉄所スラグ処理設備竣工 |
2001年(平成13) | アルミニウムリサイクル事業開始(小山) 家電リサイクル会社『グリーンサイクル株式会社』の破砕選別作業開始(名古屋) |
2002年(平成14) | マグネシウムリサイクル事業開始(小山) |
2003年(平成15) | ISO9001取得(ISO認証取得状況参照) |
2004年(平成16) | 造粒作業開始(周南) |
2005年(平成17) | ISO14001取得(ISO認証取得状況参照) 北九州エコタウンにおいて、ひびき工場「一期事業」開始 |
2007年(平成19) | 宝鋼集団有限公司との合弁会社 『上海開拓磁選金属有限公司』設立 |
2008年(平成20) | ひびき工場「二期事業」開始 |
2010年(平成22) | 圧延油脱鉄機(平成IGAMS) 北九州市エコプレミアム2010に認定 |
2011年(平成23) | 日選開発株式会社吸収合併 |
2012年(平成24) | ひびき工場「三期事業」:レアメタル及び貴金属濃縮回収設備完成 |