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今回は北九州市小倉南区の有限会社原田貴金属加工所の代表取締役原田昭人様よりお話をお伺いしました。
高校卒業後10代で飛び込んだ貴金属の加工の世界で経験を積んでいく過程のお話、仕事へのこだわり、昭和から令和へ貴金属の加工をおこなう中で獲得した技術についてなど様々なお話をお聞きすることが出来ました。
- 1, 貴金属加工の仕事を開始するにあたって
- 2, 原田貴金属加工所として独立
- 3, 貴金属の加工とは
- 4, 最後に
貴金属加工の仕事を開始するにあたって
── 原田社長はいつ頃からこの貴金属加工のお仕事を始められましたか?
原田社長
昭和37年に宮崎日向市の高校を卒業して、同じ年の4月には仕事を始めていました。職場は小倉駅近くの船場町で、東京から出てきた親方が貴金属加工の仕事場を持たれていてそこに弟子入りした形ですね。兄弟子達に追いつきたいという気持ちが強くて、仕事が終わって兄弟子達が遊びに出かけても必死に練習していました。
── 貴金属加工の仕事をしようと決心したきっかけはありますか?
原田社長
兄が居まして若松区の時計屋さんに務めていたんです。その時計屋さんが船場町の職場と取引があって、そういった伝があって仕事をさせてもらえることになりました。子供の頃から手を使うことが好きだったので、手先を使う仕事が自分には向いているのではと考えたんです。

── 未経験で貴金属の加工の仕事を始めることについて不安は無かったですか?
原田社長
全然それはなかったですね。若くて自信があったし、10年間くらい挑戦し続ければどうにかなるんじゃないかくらいの気持ちで、全然苦しいと感じることはなかったです。そうして約11年間近く船場町の加工場で仕事を続け、妻と出会って結婚するのを期に独立しました。28歳の頃です。
原田貴金属加工所として独立
── 当時は兄弟子さん方など、結婚と同時に独立という流れがあったのでしょうか。
原田社長
私としては経験を積み、結婚して家庭をもつことが出来るようになったなと考えるようになったからですね。兄弟子達も結婚と同時に独立というケースが多かったです。
そうして城野で空き店舗があると聞いて、自分の職場を持つこととなりました。振り返ると、当時は景気が良かったし、良いタイミングで独立出来たなと思います。当時はまだ人工石の指輪などが多かったのですが、社会全体が少しずつ豊かになっていく中で貴金属を身につける人が増えてきたという流れにも合っていました。

── 独立して仕事を開始された当時はどういった仕事の依頼が多かったですか?
原田社長
時計店や宝石店からの依頼が多かったですね。宝石店から依頼をいただいて指輪だったりペンダントだったり、お客様の希望を形にしていく感じです。お客様と直接のやり取りを経て制作するという機会は少なかったです。最近では直接来られるお客様も居ますね。やはり直接お会いしてコミュニケーションをとる方がより希望に添える仕事が出来ます。
お客様と直接話すことが出来ると、抱いているイメージを言葉で伝えていただいたり、「この方はこういったイメージがある」という事がより把握できます。
勿論、プロとしてお客様のイメージを形にするだけではなく、アレンジを加えたりすることもあります。
貴金属の加工とは
── 貴金属を購入されるとなるとやはり結婚だったりパートナーへのプレゼントというケースが一番多いのですか?
原田社長
そうですね。結婚だったり、記念日に贈るというケースが一番多いですね。
── 使用する宝石の種類はどれくらいあるのでしょうか?
原田社長
先ず、宝石と貴石の2つに大きく分けられます。ダイヤモンドやエメラルド、ルビーといったなかなか手に入らないものは宝石ですね。日本でも取れる瑪瑙は貴石の分類に入ります。
ちなみに、ダイヤモンドは硬いですが100%欠けないという訳ではないです。エメラルドは硬いのに脆いという特徴があります。翡翠は硬くて粘り強い(欠けることが少ない)です。
── 加工においては彫刻も大きな要素の様ですね。
原田社長
多くの人がこの世界に入り様々な仕事をしているのですが、彫刻をする方は少ないです。小さな石を彫り込んで固定したり模様を彫ったりというのは独立した分野です。例えば東京では、石留め屋さんは石留め、加工屋さんは加工、彫刻屋さんは彫刻と分業化が進んでいます。対して九州では全てに対応するという人たちが相対的に多いですね。
彫刻はやはり練習あるのみですね。弟子入りする人達には当然センスがあるなと最初から感じる場合もあるし、そうではない場合もあります。これまで11人弟子を育ててきました。優れたセンスを持っていてもやはり練習を重ねていくことが一番重要です。
── ちなみに作業中は音楽をかけてリラックスして作業をするなどはありますか?
原田社長
集中している時は何も流していないですが、きつい時には演歌をかけたりしますね。気合いを入れるために(笑)。依頼から完成までは簡単な作業で数十分で完了するものもありますし、一週間以上かかる作業もあります。
── 仕事ではお客様に満足してもらいたいと考えますか?それとも驚かせたいと考えるタイプですか?
原田社長
2つどちらもあるかなぁ。お客様に満足してもらいたいという気持ちもあるし、自分のアレンジで驚かせたい部分もある、どちらかというと後者かなと思います。
── 職人とクリエイティブの側面があるんですね。
最後に
原田社長
最近は3Dプリンターが普及して人が作れないものが出来る様になってきています。機械化されていく中で、手作りの良さを形にすることが課題です。
人の手では出来ない分野に3Dプリンターなどを活用して、それに更に私達が手を加えて完成させるということも一つの形ですね。
私は親方や兄弟子の仕事を見て、経験を経て独立した人間ですからやはり技術と経験が重要だと考えています。
── なるほど。今回は貴重なお話ありがとうございました。仕事へ向き合う姿勢などとても勉強になりました。
原田社長
こちらこそありがとうございました。
有限会社原田貴金属加工所様 各種情報
- 所在地
- 福岡県北九州市小倉南区城野4丁目4-11下城野2丁目バス停横
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